療法食のはなし

動物病院では様々な疾患や健康状態に対して療法食をお勧めすることがよくあります。

その中でも代表的なものをあげると、

  • 尿石症
  • 腎臓病
  • 食物アレルギー
  • 肥満

このあたりが多いのではないでしょうか?

療法食は特定の疾患に対してその症状の改善や維持を目的として作られた食事です。

療法食の定義
栄養成分の量や比率が調整され、特定の疾病又は健康状態にあるペットの栄養学的サポートを目的に、獣医療において、獣医師の指導のもとで、食事管理に使用することを意図したもの

尿石症

尿石症といっても、その病状は様々です。

結石が出来てしまう場合は、膀胱や腎臓に結石が見つかり、膀胱結石の場合は血尿や頻尿などの症状が出ます。
また、腎臓にあった結石が尿管へ移動してしまうと尿管閉塞となり閉塞の状況次第では、処置をしなければ閉塞した側の腎臓が機能しなくなります。

結晶が尿中に見つかる場合は、血尿・頻尿や排尿困難の検査として尿検査で見つかる場合や、健康診断で見つかる場合もあるでしょう。

腎結石や尿管結石は尿中の結晶は何の症状も出ないこともあるため、定期的な健康診断でレントゲン検査や尿検査をしておくことが重要です。

腎臓病

腎臓病は高齢の猫に多い病気ですが、犬にも腎臓病はみられます。

また、一般的に猫の腎臓病に比べ犬の腎臓病は進行も早いため適切な管理が求められます。

血液検査で腎機能低下が疑われた場合、まずは犬でも猫でも腎機能低下の原因をできる限り検査し、治療することが重要です。(原因は感染、結石、腫瘍など様々です)

急性腎障害(AKI)であれば、治療により腎機能が正常に戻り、その後の食事療法が必要なくなる場合もあります。

腎臓病が慢性的であると判断された場合には療法食が推奨されますが、尿中の蛋白の状況によっては投薬も必要になります。

慢性腎臓病の治療では高いエビデンスで療法食が推奨されていますので、ぜひ取り入れてください。

詳しくは動物病院の獣医師にお尋ねください。

食物アレルギー

動物の場合の食物アレルギーは、痒みや脱毛などの皮膚症状を起こす場合や、嘔吐や下痢などの消化器症状を起こす場合、咳などの呼吸器症状を起こす場合があります。

動物の食物アレルギーは、口から摂取した食事の中に含まれるたんぱく質に対して、免疫の細胞であるリンパ球が過剰に反応して炎症反応を起こし、皮膚症状や消化器症状などのアレルギー症状を起こします。

また、その子にとってアレルギーを起こすたんぱく質であっても、そのたんぱく質を非常に細かく分解することで、リンパ球が反応できなくなりアレルギーを起こさなくなります。(これを目的として作られたのが加水分解されたタイプのアレルギー療法食です。しかし、実際にはたんぱく質の細かくが十分ではないため、ある程度アレルギー反応は起こしてしまいます。)

食物アレルギーの子にとって理想的なのは、アレルギーを起こすたんぱく源を突き止めて、それを一切接種させないことです。(アレルギー反応を起こさないくらいたんぱく質を細かくしたフードは、商品化するととんでもない価格になるそうで、今のところ存在しません。)

食事選びにはまず、リンパ球反応検査が必要ですので動物病院にご相談ください。

肥満

肥満は心臓、関節、尿石、皮膚など多くの病気の原因となります。

心臓は太った身体の隅々に血液・酸素を送らなければならず、肥満でない身体に比べ心臓への負荷が大きくなります。その結果心不全になるリスクが増加します。

また、太った身体を支えるために膝関節・股関節や肘関節・肩関節に過度な負担がかかり、変形性関節症(OA)なりやすく、これは進行性で痛みを伴う非常に辛い病気です。

尿石は体質的にできやすいという場合もありますが、栄養過多の状態でよりできやすくなる傾向もあります。

また、しっぽの付け根や雌の外陰部の周囲が肥満のために皺になってしまう場合には、皺(しわ)になっている皮膚に細菌感染などを起こしやすく、皺性(しせい)皮膚炎となることもあります。(皺がある限りなかなか治りません)

このように肥満はいろんな病気のリスク因子となるため、日頃の食事管理により改善してあげましょう。
(摂取カロリーと、消費カロリーのバランスが重要であるため、食事管理に加えて適度な運動が必ず必要です。)

まとめ

療法食は特定の病気や健康状態の動物に対して設計されたフードであるため、健康で何の問題もない子が食べ続けると、逆に健康を害してしまう恐れがあるものもあります。

また、市販されているものの中には、十分な効果が期待できるようには設計されていないにも関わらず、病気に対する療法食であるかのように表示されている食事もあります。

療法食を選ぶ際には必ず動物病院でご相談いただき、定期的に受診していただくことで、療法食のままでいいのか、変更する必要があるのかなどを相談することがペットにとって非常に大切です。

こちらで療法食について詳しく解説されていますので参考にしてみてください。

さいたま市緑区にあるぞのペットクリニックでも様々な療法食を取り扱っておりますので、療法食でお困りの方は是非ご相談ください。

\ 症例紹介はこちら /
症例紹介


当院では動物病院で窓口精算できるペット保険(アニコム損保アイペットペット&ファミリー)に対応しております。

関連記事

  1. 子猫の成長日記⑤

  2. ニックちゃん♀

  3. 黒猫2匹を動物愛護ふれあいセンターからお引き受けしました

  4. ミロくん♂

  5. 新たに子猫を保護しました!

  6. なずなちゃん正式譲渡決定!

PAGE TOP