猫の大腿骨頭すべり症

日本猫 1歳 去勢オス

今回の症例は大型の猫に起こる大腿骨頭すべり症という病気により、股関節に痛みがでたため、大腿骨頭切除を行った症例です。

メインクーンやノルウェージャン・フォレスト・キャットなどの大型の猫の成長期に発症しやすい病気です。

大腿骨頭すべり症とは、股関節の大腿骨側の大腿骨頭という場所が骨端線(成長版)のところで、滑ってしまい骨折のような状態になってしまう病気です。

初期では普通のレントゲンではわかりにくく、CTを撮らないとわからないこともあります。

治療は人の場合にはインプラントで大腿骨頭を元の位置に固定して、血流障害により骨頭壊死や軟骨融解を起こさないよう、しばらくは松葉杖などで負重をかけないようにしたり運動制限をしたりして過ごす必要があります。

猫の場合にはいくつか治療の選択肢があります。

人と同じようにインプラントにより大腿骨頭をもとの位置に固定する、大腿骨頭を切除し関節をなくす、人工関節に置き換えるという方法があります。

人と同じように大腿骨頭の位置を整復してインプラントで固定する方法は手術自体がうまくいっても、術後の管理でしばらく患肢を使わないような生活や運動制限などは猫にとっては無理といっても過言ではありません。なので手術自体は可能であってもその後に得られる結果は手術の難易度のわりには良好なものにはならない可能性があります。

人工関節に置き換える手術は、現実的に実施可能な施設が限られる(難易度が高い)手術であると同時に、成長期の猫に行う場合、人工関節の部分は成長できないのでどうなの?という問題も出てきます。

そのため、実際には大腿骨頭切除という関節をなくす手術が一般的に行われます。
体重が重く2足歩行の人間では行われない手術ですが、体重の軽く4足歩行である小型犬~中型犬や猫では一般的に行われる手術です。また術後の飼い主の満足度も高いことから犬の大腿骨頭壊死(レッグペルテス病)や股関節脱臼、猫の大腿骨頭すべり症で適用されます。

本症例では両肢ともに大腿骨頭すべり症がみられたため、両足の手術をしておりますが、大腿骨頭切除の場合片足ずつ手術をして経過観察をし、手術後にある程度しっかりと肢を使う様子があるかどうかを確認してもう片方の手術を行います。


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