犬の圧迫排尿による膀胱結石の排出

ミニチュア・シュナウザー 4歳 去勢済み♂

今回は膀胱内の結石を手術ではなく圧迫排尿で排出させたわんちゃんの症例です。

頻尿と血尿の症状で来院され、レントゲン検査の結果、膀胱内に小さな結石が多数見つかりました。

尿検査ではpHが5と酸性尿だったため、どちらかというと解けないタイプの結石である可能性が高い状況でした。

そこでまずは2週間食事療法を行い、膀胱内の結石が溶けるかどうかを経過観察しました。

2週間後の再診では明らかな血尿は治まったものの、頻尿は間欠的に続いている状況でした。
レントゲン検査でも膀胱内の結石の様子は変化がなく、療法食による結石の溶解は期待できないと判断しました。

溶けない結石となると通常は手術による結石の摘出を行いますがこのわんちゃんの場合、結石が小さなもので尿道を通って排泄させることができそうな状況でしたので、圧迫排尿による結石の除去をご提案しました。

手術ではないとはいえ、膀胱炎を起こしている膀胱を圧迫されるので動物は嫌がりますし、結石が尿道を通過する際には痛みも伴うことが予想されます。

そのため、血液検査、胸部レントゲン検査を行った後に、鎮静剤を使用し、痛みや不快感を極力感じない状態にして圧迫排尿を行います。

圧迫排尿で結石を排出させる際には、わんちゃんの体を約60度立たせるか、横臥の状態で頭を高くお尻を低い状態に傾けて、膀胱の出口に結石が重力で落ちていく状態にして圧迫しなければ結石は出てきません。

また、一度の圧迫圧迫排尿ですべての結石が出てくれるわけではないので、尿道カテーテルで膀胱内を生理食塩水で満たして、体を傾けて、膀胱を圧迫する、というのを複数回繰り返します。

この子の場合、1日ではすべての結石を排出しきることが出来ず、その後血尿や頻尿の症状も落ち着いていた為、6か月後に再度鎮静をかけて圧迫排尿にてすべての結石を出し切りました。

圧迫排尿前の結石の様子をみると、前回圧迫排尿した後よりも結石が成長し、最初の圧迫排尿をする前の状態に後戻りしたような状況でした。

手術で結石を取り残してしまった場合にも、取り残した結石が核となって結石が成長し、再発を早めてしまう可能性もあります。

2度目の圧迫排尿で、すべての結石が排泄できたので一安心です。

この症例のように手術を回避できる症例は膀胱内の結石小さく、尿道を通過する可能性が高い症例に限ります。

頻尿、血尿やトイレではない場所で粗相してしまうなどの症状がある場合には膀胱結石の可能性があります。

ぜひ一度動物病院にご相談ください。

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