ノミやマダニが犬や猫の体表に寄生すると、皮膚のかゆみや湿疹、赤みなど、強いアレルギー症状を引き起こすことがあります。
お散歩やドッグランによく出かけるわんちゃん、外に出かけるねこちゃんは特に感染してしまうリスクが高くなります。
更に、近年温暖化の影響で1年を通して平均気温が上がっているため、年中ノミ・マダニが発生することが問題となっています。
皮膚の症状だけでなく、ノミは条虫という寄生虫を、マダニはバベシア症・ヘモプラズマ症など血液の病気や近年人への感染も話題になっている重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を媒介することもある恐ろしい外部寄生虫です。
月1回の投薬をしっかりと行い、わんちゃん・ねこちゃんと飼い主様ご家族の健康を守りましょう。


ノミ

日本において犬や猫に寄生するノミはイヌノミとネコノミですがそのほとんどがネコノミです。
ノミは完全変態する(卵→幼虫→蛹→成虫の発育段階がある)昆虫ですが、犬猫やヒトに寄生するのは成虫のみです。
ノミの成虫は動物の体表に寄生してすぐ(数分後)に吸血を開始し、その際に抗血液凝固物質*などを含む唾液を注入します。
吸血後は24時間以内に交尾し、交尾後は2448時間で産卵しますが、産卵には血液を吸血することが必要です。
産卵数は1日に2050、一生で2000個以上産卵します。

*このような物質に対してアレルギーがあるとノミアレルギー性皮膚炎となります。

卵〜成虫になるまで

は体表から床に滑り落ち、212日で孵化します。
幼虫は人のフケアカ食べ残しなどの有機物を食べて
成長し、9200日で蛹(さなぎ)になります。
蛹の期間は夏で早く7日〜長いと1にもなる場合もあります。

蛹は動物の発する振動や二酸化炭素に反応して羽化し、
犬猫やヒトに寄生します。

ノミの成虫

ノミの成虫は5%

成虫は氷山の一角で、
生活環の回っている成虫が5いると、
周囲の環境には95匹の卵・幼虫・蛹がいることになります。

卵・幼虫・蛹ソファ、クッション、カーペットに潜んでおり、
一度繁殖してしまうと根絶するのは非常に困難です。
一時的に成虫を駆虫し安心していても卵・幼虫・蛹が成虫になり
いつまで経ってもノミに悩まされることになります。

注意

ノミの生活環を断ち被害に合わないためには、ノミが寄生してから産卵するまでの間に予防薬がノミに作用する必要があります。
しかし、ノミに寄生されたことにすぐに気づき予防薬を投与することはほぼ不可能です。
そのため1ヶ月以上効果の持続する予防薬を月に1回継続して投与しておくことが非常に重要となるのです。

ノミが媒介する(運ぶ)わんちゃん・ねこちゃんの病気

ノミアレルギー性皮膚炎

ノミは吸血する際に血液が固まらないように唾液を注入しながら吸血します。
体内に注入された唾液に対してアレルギー反応を起こす病気がノミアレルギー性皮膚炎で、広範囲の激しいかゆみや発疹ができます。
ノミアレルギー性皮膚炎は少数のノミの吸血でも起こりうるため、症状が起こっているのに、ノミが見つけられないこともよくあります。

瓜実条虫(サナダムシ)

感染経路:
瓜実条虫の虫卵をノミの幼虫が食べる→ノミが蛹・成虫になる間に瓜実条虫はノミの体内で幼虫になる→瓜実条虫の幼虫入りのノミの成虫をグルーミングにより経口摂取し動物(主に猫)に感染→体内で幼虫から成虫へと成長し虫卵を含んだ片節が便とともに排泄されます
症状:大量寄生で下痢や体重減少を起こすことがあります。また、肛門から排泄される際に片節(ごま粒大)が動くため肛門周囲を気にすることがあります。
治療法:動物用の条虫駆虫薬で駆虫

ノミが媒介する人の病気

ノミ刺咬症

病原体:ノミの唾液(唾液に対してアレルギー反応が起きることで生じます)
症状:浸潤性紅斑紅色丘疹、刺点中心から数mm~数cmの紅斑、水疱など。
数日間も継続するひどい痒みを起こします。

瓜実条虫(サナダムシ)

感染経路:
瓜実条虫の虫卵をノミの幼虫が食べる→ノミが蛹・成虫になる間に瓜実条虫はノミの体内で幼虫になる→瓜実条虫の幼虫入りのノミの成虫が動物(主に猫)に寄生→人がノミを発見しノミを潰した際に瓜実条虫の幼虫が付着した手をなめるなどして経口感染する
症状:ほとんどが無症状ですが、おもに幼児に下痢や腹痛が見られます。乳児では、オムツの中に瓜実条虫の片節が見られることがあります。
治療法:人用の条虫駆虫薬で駆虫

猫引っ掻き病

病原体:バルトネラ菌(Bartonella henselae)
感染経路:バルトネラ菌を持ったノミの吸血によって犬や猫に感染・伝播→その犬や猫による引っかき傷や咬み傷から人に感染
(菌を保有するノミから直接感染したと疑われる症例もあり)
症状:猫や犬では常在菌ですので無症ですが、人では傷口の化膿、発熱やリンパ節の腫脹を引き起こします。
数日から2週間ほどの潜伏期間の後、受傷した部分の丘疹や膿疱、リンパ節の腫脹に伴う発熱、疼痛が数週間から数ヶ月続きます。
また、リンパ節腫脹の1~3週間後に、突然の痙攣発作や意識障害で脳症を併発することもあります(発症した人のうちの約0.25%)。
治療:ミノサイクリン(テトラサイクリン系)

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