先日ご紹介した黒猫兄妹が下痢と嘔吐の消化器症状と食欲廃絶、元気消失で急遽点滴による治療を行いました。
子猫の離乳の時期はミルクから離乳食へと摂取するものが変化することもあり、下痢などの体調悪化がよく起こります。
多少の下痢でも、ミルクを飲んで離乳食を食べて体重が日々増加してくれていれば大きな問題はないのですが、ミルクも離乳食も口にしなくなってしまうと子猫の場合は一気に弱ってしまい命に関わります。
今回はまず男の子が水下痢になり、ミルクも離乳食も食べなくなり、体重が377gから350gまで落ちてしまってかなり沈鬱になってしまったため静脈点滴を始めました。
この体重減少は数時間でおきます。(ミルクをあげる前に陰部やお尻を刺激して排泄させて体重測定→ミルクをあげた後体重測定→飲んだミルクの量を計算)
そうこうしているうちに女の子も水下痢と嘔吐で、同じ症状になり、こちらも体重が386gから360gに減少してミルクも離乳食も受け付けず沈鬱になったので静脈点滴を開始しました。
多くの場合、元気消失の原因は低血糖とそれに伴う循環不全によるものなのでグルコース(糖分、ブドウ糖)入りの点滴をしてあげるとすぐに元気にはなりますが、食欲や下痢・嘔吐の消化器症状が落ち着かないうちに点滴をやめてしまうとすぐに同じ状況に逆戻りです。
ちなみに点滴にグルコースを混ぜる場合、動物病院でよくある皮下点滴(背中にうってもらうやつ)はできません。
グルコース入りの点滴をする場合には必ず静脈内に点滴をする必要があるからです。
そこで、静脈内に点滴をするためには留置針という針を血管の中に入れる必要がありますが、子猫の場合そもそも血管が細すぎて留置針が血管の中に入らないかもしれないという問題があります。このぐらいの体重の子猫で何とか入るかどうかという大きさです。
(もし血管に留置針が入らなかった場合には足の骨の中に針を入れて骨髄輸液という方法で点滴をします。)
今回は失敗なく2匹とも留置針を入れることができ、4日間の点滴でひとまず状態が安定したため静脈輸液を終了して元気に過ごしてくれています。(治療としてグルコースなしの皮下点滴しかできないとちょっと厳しいなと思います。)
点滴中は別々のお部屋だったので、久しぶりに2人そろってすぐにお部屋を散らかしていますw
まだ便の状態はゆるく、いつまた体調が急変するかわからないので今後も体調の変化に要注意です。
便検査では寄生虫などは検出されず、整腸剤などで下痢の治療中です。
これからもぜひ2匹の成長を応援よろしくお願いします!