猫の膀胱・尿道結石

【閲覧にあたり、ページ内の一部に疾患の状態や手術中の様子を示す写真が含まれることをご留意ください】

今回は猫の膀胱結石の症例です。
ロシアンブルー 去勢オス 3歳

1か月前の他院でのエコー画像

1か月ほど前に頻尿症状あり、かかりつけを受診して膀胱結石がみつかり、食事療法で経過観察。
一度は頻尿が落ち着いたが、再度頻尿症状・不適切排尿(トイレ以外での排尿)があったので、当院で手術を含めて相談したいという症例でした。
持参された1か月前のエコー画像では膀胱内に大きめの結石が2つうつっていましたが、当院で検査したところ細かい結石が複数膀胱内及び尿道内に見つかりました。

初診時のレントゲン検査(膀胱内の多数の結石と尿道内にも結石がみつかった)
初診時エコー検査(膀胱内の結石)

この時考えられることは2つです。
①結石は溶けるタイプであり、このまま尿道閉塞に気をつけながら食事管理を続けていけば結石はなくなる。
②溶けるタイプと溶けないタイプの混合タイプであり、溶ける部分だけ溶けて後は食事管理を続けても溶けない。
まずは①であることを願い、もう少し食事管理を続けて様子をみることとなりました。
ちなみにこの時完全な尿道閉塞ではないものの尿道内に2つ結石があり、尿が出しずらい状況になっていたので尿道カテーテルを挿入して生理食塩水でフラッシュして膀胱内に結石を戻す処置をしました。
頻尿の原因として膀胱結石という診断ははエコー検査や尿検査などで診断がつくかもしれませんが、レントゲン検査を行わなければ尿道結石を見逃してしまいます。あらゆる可能性を考慮して検査を怠らないことが重要です。

レントゲン検査(2週間後)
レントゲン検査(1か月後)尿道閉塞を起こしていたおり膀胱がパンパンだった

この子の場合、2週間後、1か月後にレントゲンで膀胱結石の状況を再検査しましたが、結石が減る様子がなかったため、膀胱結石の手術となりました。ちなみに1か月後の再検査の際には完全尿閉(急性腎障害はなし)となってしまっており、まずは尿閉解除を行ってから、翌日膀胱結石の手術を行いました。
膀胱は慢性的な炎症の結果顕著に血管新生があり、粘膜はかなり肥厚していました。

炎症を起こした膀胱

膀胱内には細かな結石が多数あり、取り残しがないかがとても心配でしたが、術後のレントゲン、超音波検査で結石がないことを確認して一安心です。術後は数日尿道カテーテルを挿入したまま膀胱内に尿の貯留がないように管理し、膀胱の縫合部に負荷がかからないよう気を付けます。また尿道カテーテル抜去後は炎症細胞の塊などで尿道閉塞を起こさないかどうかを数日経過観察し退院となります。(順調であれば約5~7日間の入院で退院となります。)

摘出された膀胱結石

結石分析の結果はシュウ酸カルシウムとリン酸カルシウムといずれも溶けないタイプの結石であることが分かりました。
尿路結石は繰り返し起こすことが多いため、今後は療法食を食べることにより再発を防ぐことが非常に重要となります。

繰り返す血尿や頻尿、膀胱結石、尿道結石でお悩みの方は当院へご相談ください。

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