皮膚の痒み・赤み・脱毛(アトピー性皮膚炎と食物アレルギー)

痒みは想像以上にストレスになります。
気温が高くなる5月から10月の間はアトピー性皮膚炎の原因となるハウスダスト、カビや植物の花粉が多くなる時期です。
毎年この時期になると皮膚の痒みや赤みが悪化する子は体質的にアトピーを持っているかもしれません。
それに対し、季節に関係なく一年中痒みがある場合には食物アレルギーを持っている可能性があります。
またアトピー性皮膚炎と食物アレルギーでは発症の時期(何歳から痒がり始めたか)や部位にも少し違いがあります。

痒みの症状とは?【動画あり】犬のアレルギー診療の進め方(皮膚症状)

アトピー性皮膚炎なのか食物アレルギーなのかによって有効な治療も変わってきます。
しかし、どちらの場合でも皮膚の状態が悪化すると二次的に細菌感染やマラセチアという真菌の増加により、膿皮症や外耳炎の悪化により、皮膚症状の悪化を招きます。
診断の進め方としてはまずアレルギー以外の痒みの原因、主に感染(ノミ、ヒゼンダニ、真菌)を除外します。
ここで毎月ノミやマダニの予防をしっかり行っているかどうかということが重要になります。
予防薬によって予防できる外部寄生虫の種類が異なってきます。普段使っている予防薬が何に効果があるのかをきちんと把握しておくことは重要です。
感染が除外されたら次はアレルギー検査です。
アトピー性皮膚炎は皮膚に付着したアレルゲンが皮膚の中に侵入してくることでIgEという抗体の働きによって起こるアレルギー反応です。
また食物アレルギーは食事から吸収されたたんぱく質が血液中から血管外に出る際にリンパ球という免疫細胞の働きによって起こるアレルギー反応と考えられています。
したがって、アトピー性皮膚炎を疑う場合にはアレルゲン特異的IgE検査、食物アレルギーを疑う場合にはリンパ球反応検査というふうにアレルギー検査も異なってきます。

IgE抗体
リンパ球

アレルギー検査で原因となる物質がわかれば、できるだけその物質への暴露を減らすことで痒みの症状の改善や投薬の減量、皮膚の状態の改善が期待できます。
アトピー性皮膚炎も食物アレルギーによる皮膚炎も、コントロールがうまくいかずに炎症を起こしている期間が長くなると、皮膚の肥厚・苔癬化(黒ずみ)・脱毛などを起こし、正常な皮膚の構造が変化します。この変化によりさらに皮膚のバリア機能の低下を引き起こし、悪循環に陥ります。
アトピー性皮膚炎の場合には特に、もともとの皮膚のバリア機能が弱いため、スキンケアによる皮膚のバリア機能の改善が重要になってきます。
アレルギーの治療には原因物質の特定、原因物質の暴露の回避、スキンケアによる皮膚のバリア機能の改善、投薬による痒みなどの皮膚症状の改善などを多面的に組み合わせていく必要があります。

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毎年膿皮症を繰り返し、抗生剤や抗菌シャンプーを繰り返し使用している場合には注意が必要です。細菌の薬剤耐性が問題となっている現在、繰り返す膿皮症に対して抗菌剤や抗菌シャンプーのみで対処しようとすることは非常に危険です。
スキンケアによるバリア機能の改善により膿皮症やアトピーを起こしにくい環境にしてあげることが重要です。
アレルギーの初期症状として足先をよく舐める・耳をよく掻くなどの症状が挙げられます。
皮膚の痒み・赤み・脱毛、再発する外耳炎や膿皮症など気になることがあればご相談ください。

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